消費が冷え込んでくると、多くの小売業経営者は薄利に目が行きがちで、コストを下げることばかりに熱心になってきます。しかし簡単に物が売れない時代、それでは多売が実現できなくなってしまいます。少なくとも従来の管理手法によってコストを下げ利益を確保するというやり方は、もう通用しなくなってきています。リストラで経費額は大幅に削減されたものの、それによる売り上げの減少で逆に売り上げ対比経費率の上昇が止まらない、これでは負のスパイラルであってそれこそ本末転倒です。
ドンキホーテを経営する大原孝治は、もはやローコスト作戦ではなくハイリターン戦略でなければ、この時代は乗り切れないといいます。ドンキホーテは、薄利ではなくあくまで多売を追及しています。まず多売ありきで収益を上げ、その結果として経費率が下がるという考え方です。アプローチの仕方と組み立ての方法が全く逆になっています。また総需要が伸びない中売り上げを伸ばそうと思えば、他からパイを奪うかあるいは他と違う市場を開拓するしかありません。しかも単なる安さはもう武器にはなりません。既存のディスカウントショップが苦戦する背景がここにあります。少なくとも安さにプラスアルファの魅力を提供していかなければ、今の顧客を引き付けることは出来ず、もちろん他からパイを奪うのは望み薄です。
ドンキホーテはあえてそこにコストをかけます。手間暇をかけてスポット商品を仕入れ、せっせと圧縮陳列を行います。いうまでもなくそれらはすべて、多売で高収益という果実を得るためです。
ドンキホーテを進化させる大原孝治
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